ゾーン

   昨夜テレビを観ていたら、ゾーン体験についてやっていた。ゾーン体験とは、所謂めちゃくちゃ集中している状態を指した言葉で、自分の能力以上の力を出せる、調子が非常にいい状態を指すらしい。(素人の要約なので知りたい人はGoogle先生に聞こう)

   確かに、中学時代の部活仲間でボールが止まって見えた、だとかアタックを打つべき場所が一瞬で分かった、などと言う人間はいたし、高校時代の友人では模試が高得点だった時に「夢中で解いてた。なぜかスラスラ解けた 」という人間もいた。本人達の生まれ持ったセンスや勤勉さはひとまず置いといて、これらも所謂ゾーン体験というやつなのだろう。

  私はというと、特にそのような体験はしたことはなかった。部活の練習中は早く帰りたかったし、大会の時は早くコートから立ち去りたかった。さすがに集中する素振りは見せていたが、心ここに在らず状態だったのだ。ゾーン体験とは対照的な状態である。本当に集中していた時など数えるほどもなかった。こう書いたら当時のチームメイトに顰蹙を買いそうだが、哀しいことに事実であるし今更過去の自分を取り繕う気など私には微塵もない。

 勉強全般においてはただひたすら苦痛であった。特に高校の模試は実施数がやたら多かったのと、一コマ一コマが異様に長く、しかも問題は理解不能で、ベタだが晩ご飯のことや休日に何をするか等、全く別のことを考えながらやり過ごしていた記憶がある。

 つまりは私はゾーンのゾの字すら理解できず、そういった状態とは無縁で過ごしてきた訳ではあるが、なんと今日、そのゾーンとやらを体感したのだ。その感動を今回綴る。

 私は現在卒論に取り組んでいるのだが、今月中に中間発表会があり、その資料を今週末までに作成して提出しなければならないという状況に置かれている。この三連休中は「台風が来るなら卒論などはやらずに大人しくしていた方がいい」と自宅待機の意味を履き違え、ひたすらゲームやらYouTubeやらを見ている堕落した生活を送っていた。つまり一切手付かず状態だったのだ。

 今日、ようやく漬物石並に重い腰を上げ朝10時から大学に向かいデータやら文献やらと睨めっこしながら資料を作成していたわけだが、気がついたら12時になっていた。まさに「夢中」だったのだ。その後、20分ほど休憩をとり再び16時まで作成していたわけだが、この約5時間、本当にあっという間に過ぎたのだ。

 しかも苦痛はあまり感じず、微かに楽しいと感じていた。最初はYouTubeでラジオを聴きながらやっていたのだが、ラジオが終わったことも気が付かずにひたすら文章を打ち込んでいた。なんだか調子が良かったのか、この三連休を挽回できたと言えるくらいの出来にはなった。多少加筆修正は必要そうだが、頭を抱えるほどでもない。

 帰宅途中、ふと、これが昨日TVでやっていたゾーンか!!と気がつき感動し、今こうして書いているわけであるが、振り返れば、過去にもこういった資料作りの際に集中力が増し時間があっという間に過ぎていた感覚は多々あった。資料作り、というより何か文章を書いているとき、といった方が体感的には正しい。確かに文章を書くこと自体はあまり苦痛ではない。

 ゾーン体験をした!といえどその証拠を見せることはできないので、ブログを書いている最中でそのゾーン状態になり、「ああ、これを書いた時はゾーンに入ってたんだな。」と解釈されるような文章をいつか披露できると信じている。