卑屈虫

  今日、バイト先で私はとある事で褒められた。去年、任されていた簡単な作業が、バイト先の上司の方や利用者にそれなりに評判で、今年も是非、との話だった。

  その作業に関しては去年もとても褒められた。まさか今年もそれに関して褒められ、また頼まれるとは思ってもいなかった。不意打ちの賞賛に戸惑い、私はかなり謙遜してしまった。しかも否定的な言葉を使って。よほど下手くそなリアクションだったのか、その時、上司の方に「なんだか最近表情が重い。何か辛いことでもあったのか?」とあらぬ勘違いを抱かせ、心配までさせてしまった。

  元々あまり褒められるような経験が少なかったせいか、褒められる時のリアクションが下手くそなのだ。だが、あまりにも今日の私のリアクションは不格好過ぎた。

  行き過ぎた謙遜はむしろ卑屈。卑屈が板につくと自分の気づかないところでそれは滲み出し、周囲を困惑させる。

  何も自己を過剰に肯定する必要もないが、それと同様に否定する必要も微塵にないのである。だが、私はどこか自分に自信がないのだろう。そんな自分が褒められたとなると、もはや一大事なのである。

  純粋に褒めた側としては過剰に否定されたりするとかえって気分が悪くなったり、戸惑いを抱く。スマートに、ニコッと笑って感謝の意を伝える方が遥かに印象が良いし、褒めた側もなんだか嬉しい気持ちになる。

  身をもって、自分の卑屈さやら不器用さを改めて実感したわけではあるが、人間、染み付いた習慣はそうすぐには改善できない。せめて口角を上げて生きていこうと思う。